山本光英の紹介
About Our Company
[000315]

    私は時々独りで茶室に入る。ちょうど正午の日の光が窓越しから室内に差し込み、その明るさを体で感じる。日没が近づくと、今度は夕日が差し込む。その夕日に照らされ、茶室に置いてある茶器の影がどんどん長くなっていく。遂には、光が消え、茶室は完全な暗闇に包まれてしまう。それでも、私はまだその静けさに浸りたいと思う。そして私の茶器を夕闇の中に隠すように、明かりを付ける気にはならない。私は目で彼らを見ることはできない。ただ、彼らが私の傍にいることを心から感じることはできる。
    
    多くの人は一生の内、このような片時の静けさを求めているのではなかろうかと、私は思う。
    
    ちょうど賀茂川の川辺でその流れを見て感嘆するかのように、私はこれらの茶器と共に時が過ぎゆくことを経験してきた。一首の歌で歌われているように、「人生数十年、全てが夢の如く」と、凡人として頑張り続けた一生。歴史的に名声を残した偉大な茶人たち、例えば村田珠光、千利休といった先輩方がいる。彼らは、時の流れの間では桜のように瞬く間に消
え去っていったが、それでも世に自分の永遠となる作品を残した。
    
    美しいものは、きっと一代一代、そして代々伝承されていくのだと、私は思う。